【CBD COP10レポート】COP10が残したもの③「NGOのモチベーションが上がった」
◆参加の敷居が低かった
COP10は、とてもオープンな国際会議でした。
まず、オブザーバー参加に登録料がなく、生物多様性に関係するテーマのNGOなら登録することができました。インターネットが使えるパソコン(ただし日本語入力機能なし)やNGOのオフィスの代金を請求されることはありませんでした。そのため登録料を気にせずに参加しやすい会議でした。
ちなみに2010年3月のワシントン条約締約国会議の場合、登録費が一人300米ドル、情報交換やインターネットなどを使うオフィス代としてNGOネットワークに一人100米ドル払いました。これでは、小さい団体から何人も参加することはできません。
◆情報公開が進んでいる
会議資料はインターネットで公開され、公式会議はインターネットで見ることができます。小委員会でもオブザーバーの参加に制限のない会議が多くありました。NGOも公式サイドイベントを主催し、それぞれの主張をしていました。
このように情報公開が進み、NGOは活動しやすい会議でした。とくに公式会議は日本語通訳があり、さらにNGOによる通訳・翻訳もあって、日本国内に向けた情報共有に貢献していました。
◆NGOの意見が尊重される
そして9日のCOP10報告会で、CBD市民ネット普及会啓発作業部会長のスピーチが決議文に盛り込まれたことが報告されました。(詳しくはCBD市民ネットHP http://www.cbdnet.jp/archives/3839/ )
この他にも2020年目標(愛知ターゲット)の目標5:2020年までに[森林を含む]自然生息地の損失及び劣化の速度や、それらの生息地の分断が・・・に「森林を含む」を入れるべきだという主張は、会議場のトイレの個室すべてに英文で張り紙がしてありました(男性用は確認してませんが)。そうした強いアピールの成果か、愛知ターゲットには「森林を含む自然生息地」と書いてあります。(写真:会議場前でのアピール 10月29日朝)
もちろん愛知ターゲットの保護区の面積がNGOの主張に及ばない低い数値だったなど、締約国同士の綱引きで決まることがほとんどですが、日本国内よりもNGOの意見が尊重されていると感じました。
◆だから決まったことはみんなで実行する
愛知ターゲットには、「参加型の改定生物多様性国家戦略および行動計画」、「生物多様性とその慣習的な持続可能な利用」を「あらゆるレベルで完全に認識され主流化される」と書かれています。NGOの役割は大きいです。COP10で決まったことが実行されなかったら、あんなに苦労してできた決議文も意味がありません。
生物多様性の損失に待ったをかけるため、決めたことをみんなでやる。妥協の結果、残念だったところは次の機会に巻き返す。日本のNGOのモチベーションが上がったように思います。
JWCS 鈴木希理恵