捕鯨に関する意識調査で鯨肉離れが明らかに
国際NGOホエール・アンド・ドルフィン・コンサベーション(WDC)は8月14日、日本での捕鯨に関する意識調査の結果を公表しました。この調査でJWCSは。WDCの委託により日本のマーケットリサーチ会社への発注業務を担当しました。
調査はマーケットリサーチ会社に発注し、登録されている回答者がオンラインでアンケートに答えるインターネット調査を、1000人に対し行いました。回答者は性別および年齢区分を均等にし、また地域ブロックごとの人口分布を考慮して回答者の定数を決めました。
全世代で鯨肉離れが明らかに
過去1年間での鯨肉を購入状況を聞いたところ、77%が購入していないと回答しました。
そしてクジラ肉が食べられなくなっても影響がないと答えた回答者は全世代で多数を占めました。
政府が捕鯨を禁止しても反発する人は少数とみられる
日本が捕鯨を禁止した場合、その決定を支持する人(反捕鯨)の割合が、反対する人(捕鯨継続)をわずかに上回りました。回答者の多くは「どちらでもない」「わからない」であり、日本政府が捕鯨を禁止してもその決定に反発する人の割合は少ないと考えられます。
「反対」「支持」それぞれの回答をした人にその理由を尋ねました。
「捕鯨禁止に反対する」と回答した人の中では、「クジラ肉が好き」な人よりも「日本の文化と伝統を保つ」ために反対すると回答した人の方が多くいました。
「捕鯨禁止を支持する」と回答した人の中では、捕鯨を海洋生態系の問題ととらえる人が一番多くいました。捕鯨を外交や経済的側面からとらえる人もおり、動物愛護だけではない、さまざまな理由が挙げられていました。
また捕鯨産業に補助金として税金が使われることに対し、賛成しないという回答が賛成を上回りました。
野生生物保全への支持
絶滅危惧種を食用とすることに反対する回答が半数を占め、とくに年齢の高い世代でその意識が高いことがわかりました。
ホエールウオッチングも支持されています。
食品に含まれる有害物質の懸念
年齢が高いほど食品に含まれる有害物質を気にする傾向がありました。
ホエール・アンド・ドルフィン・コンサベーション(WDC)は2023年にノルウェーでミンククジラの肉を分析し、すべてのサンプルから高濃度のPFOSが検出されたと報告*しています。サンプルから検出された平均レベルは、体重70kgの人が100gのミンククジラ肉を摂取した場合、 100gで European Food Safety Authority (EFSA)で決められたPFOSの週間総摂取量(TWI)を上回ることが分かりました。他の研究ではさらに高濃度のPFOSが検出されており、 1週間に100グラム未満の鯨肉でもTWIを超える可能性があることを示していました。
今後、輸入鯨肉の有害物質含有が明らかになると、ますます鯨肉離れが進むことが考えられます。
*『ノルウェー鯨肉汚染物質報告書』Recent contaminant analyses indicate potential for health risks to humans from consumption of Norwegian whale meat(2024)
【鯨肉と捕鯨に関する意識調査】
調査エリア:日本全国 調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳以上の男女1000人 調査期間 2024年5月21-27日
マーケットリサーチ会社:合同会社ウェブチームズ webteams LLC