【1月4日】公開理論研究会「野生動物離れ」参加者募集

ネズミ

テーマ 「野生動物離れ」
話題提供:安藤元一(JWCS会長、ヤマザキ学園大学名誉教授)
日時:2020年1月4日(土)13:00-15:30
会場:地球環境パートナーシッププラザ GEOC(東京・渋谷区)
参加費無料 申込不要 どなたでもご参加いただけます

講演要旨

 近年、自然の中で行われる活動の担い手が若い世代から高齢世代に変わりつつある。山で出会う人の多くは高齢者であるし、自然系のセミナーに出席したり、保全実践活動に参加する人たちも高齢者に占められる。各種の自然系団体(例:日本野鳥の会)では会員数の減少傾向が続いている。各地で開かれている探鳥会なども同様である。その理由として挙げられるのは、自分のペースで観察したい、人と関わりたくない、マンネリ化している、イメージが古くさい、高齢者が多くて入りづらい、といったことである。
 他方、若い世代が増えている分野もある。例えば野生生物系学会の会員数は増加傾向にあって、多くの大学院生の発表であふれている。しかし一流論文の数は必ずしも増えているわけではないし、野外調査に没頭するタイプは少なくなっているし、自然史的な研究は通用しなくなっている。野生動物系の研究室を希望してくる学生は多いが、職業として本気でこの道に進みたいと考えている学生は少数派である。学生でいる期間くらいは好きなことをしたいという印象がある。
こうした現象はなぜ起きているのだろう。例えば次のような原因が考えられる。
・暮らしの中で野生動物と関わる必然性が薄れた。
・野生動物を知る機会がない(都会マンション生まれの人がどこでかかわるか?)。
・野生動物(自然)と関わる時間が無い(けっこう忙しい)。
・自然から遠ざけるような規制が過剰な中で育った(例:生物捕獲禁止、水辺接近禁止)。
・金がない(保護者の収入減のため。バイトに忙しい。いろんな経験をする機会が減る)。
・自然自体が劣化して楽しむ場としての価値が低下した(例:明るいブナ林→暗い人工林)。
・無感動になった(自己家畜化。草食系)。
 この現状にどのような対応が考えられるか、論議したい。
(安藤 元一)