10月6日~17日に開催される生物多様性条約第12回締約国会議(韓国・平昌)にNGOとして参加します。JWCSが2011年度から研究をしている「目標3 奨励措置(補助金を含む)の改革」は、愛知ターゲットを達成するための資源(お金、人材、技術など)をどのように確保するかという議題の中で扱われています。以下は会議参加者に向けたJWCS愛知ターゲット3委員会からの提言です。
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Agenda Item 14 愛知ターゲット3について
補助金改革を進めるには
JWCS愛知ターゲット3委員会
愛知ターゲットの達成が危ぶまれている。2013年に奨励措置・補助金改革の阻害要因について条約事務局が締約国に情報提供を呼びかけたが、締約国13カ国と2機関しか回答がなかった(UNEP/CBD/SBSTTA/18/11)。
改革に対して動きの重い締約国には、どのような動機づけが必要なのか。私たちは2012年から日本における補助金など奨励措置の現状を調査してきた。その研究から、補助金改革を促すものとして2点に注目した。
一つは貿易のルールに愛知ターゲットを関連付けることが有効である。貿易はもともと国内産業の振興と密接に結びついている。産業の振興においては環境重視の視点が弱くなりがちである。そのため貿易関係を通じた生物多様性に配慮した補助金の改革が、地球全体の生態系保全につながることを重視すべきである。補助金改革を自国の貿易を不利にするのではなく、有利になる仕組みづくりがますます重要になっている。
二つめは、地域の強化とローカルな問題を解決するための補助金改革である。
日本は人口が、とくに地方で減少している。地方には高齢者の多いローカルコミュニティが増え、それが将来消滅する可能性が高くなっている。そのような状況で、いくつかの地方自治体は地元の自然の価値を認識し、生態系サービスを重視する政策に転換した。その政策を支持する若い人たちが、都会から地方へと移住する動きが出てきている。
また多様な政策の統合や、利害関係者の参加への動きも、地方自治体で先行している。国の補助金をどのように有効活用するかは、地域に密着する地方自治体の役割であり、その政策転換と改善は、補助金改革を促すことによって期待できる。
世界が直面している貧困撲滅やローカルの問題を解決するため、さまざまな補助金改革が日本以外の国でも求められており、愛知ターゲットの達成に役に立つと思われる。
COP12の草案には、これらの視点が多少とも含まれている。最初のステップはドラフトを後退させることなく採択することである。次のステップとして、あらゆるセクターが決議を発展させた積極的な行動をとり、愛知ターゲットの早期実現を達成しよう!
*当委員会による愛知ターゲット3の報告書