【CITES CoP17】会議報告⑥ 自然保護の新たな議論「ローカルコミュニティ」
コミュニティベースの自然資源管理ができるようにするための仕組みがCITESにはないという理由で、村落地域委員会の新設をナミビア、タンザニア、ザンビア、ジンバブエが提案しました。
一方、CITES事務局はこの提案に対し、「CITESと生計」のプログラムと重複すること、新たな委員会の設置は資金的に難しいことなどをコメントしていました。
提案した国々はローカルコミュニティの重要性を力説し、その都度会場から拍手が起きました。エチオピア、南アフリカ共和国、中国が支持、EU、ノルウェー、カナダが反対の発言をしました。
日本政府は「日本の小さな漁村は持続可能な利用をしている。アイディアはいいので議論を続けるべきだ」と発言。この議題は作業部会で議論されることになりました。
午後はTBSラジオ「荻上チキSession22」のCITES特集でインタビューに答えました。
番組の中で日本に密輸があるかどうか質問されました。税関で摘発される不正輸入は税関のホームページで公開されています。
これを見ると象牙は少ないのですが、空港の手荷物検査で、小さく切った象牙がすべて摘発されるかどうかは疑問です。
また、象牙などワシントン条約附属書Ⅰの対象のうち、合法の製品・個体などを登録しているのが自然環境研究センター(自然研)です。自然研は2016年6月28日の種の保存法あり方会議において、象牙の登録申請の問い合わせが1か月に100~150本あり、対応時間中の7~8割が象牙に関する問い合わせであると報告していました。
一度限りの象牙取引が2回あったとはいえ、1989年の取引禁止から20年以上たっても、大量に新しい登録申請があるということは、日本国内に存在する象牙の量は把握できていないということです。そこに新たな密猟による象牙が混入する隙ができてしまっています。