【CITES SC69】押収された生き物はどこへ
3日目、29日の議題の中に違法取引が発覚して押収された生き物をどうするかというものがありました(SC69 Doc.34.1)。
とくに今回は、締約国に行ったアンケート調査の結果が報告されました。回答したのは58か国でした。
一番多かったのは公共の動植物園水族館でした。次が指定されたレスキューセンター、3位は生息国で野生復帰、4位は承認された私設のサンクチュアリーなど、5位は安楽死、6位は大学・研究機関でした。中には売るという国もありました。
野生復帰させるおもな動物はオウムで、レスキューセンターでの飼育はおもに肉食動物でした。
野生復帰には、捕獲された場所を正確に把握したり、飼育されている間に病気に感染してその病気が野生個体に感染しないか獣医がチェックしたりなど、慎重さが求められ、まただれの責任で行うのかがケースバイケースの状態です。
安楽死の基準もあり、最終手段であること、個体が伝染病の末期であること、鳥インフルエンザなど感染症のリスクがあること、ハイブリッドなど配置が難しいこと、学術的・保全的に価値が低いことなどが挙げられています。
また課題として、締約国は押収された動物にかかる費用、とくに輸出国への返還の費用や、レスキューセンターの能力を課題に挙げていました。
植物になると押収されたものの行き先の1位は植物園でしたが、2位は破壊でした。植物の場合も永久的なケアと輸出国への返還の費用が課題に挙がっていました。
会議では、ワーキンググループがこのアンケート結果を分析し、レスキューセンターのリストをCITESのウェブサイトに掲載することや、処分の選択肢とその法的問題、「処分 disposal」に代わる言葉を検討し、次回の常設委員会で報告することになりました。
(鈴木希理恵 JWCS)