東京都 象牙取引規制に関する有識者会議 報告書まとまる
2022年3月29日に開催された、東京都による「象牙取引規制に関する有識者会議」第7回(最終回)で有識者会議の報告書がまとまりました。それには委員からの提言として、条例を含む対策の検討を求めるものになっています。
この有識者会議は、YouTubeで公開され、結論の根拠となった都内の象牙事業者へのアンケート調査結果なども都のウェブサイトで公開さ入れています。
この提言を受けて、東京都が国際都市の名にふさわしく、国に先んじた内容の条例を制定することを望みます。
「象牙取引適正化に向けた対策(有識者会議から東京都への提言) 」報告書P17
1 象牙の違法な国外持出を防止し、日本の市場が密猟や違法取引に寄与していないことを国際社会に明確に示していくためには、象牙取引管理の一層の厳格化が求められる。そのためには、国による法に基づいた全国的な取組が必要であり、東京都から国に以下の点を強く働きかけられたい。
・ 違法な国外持出・持込の取締りの実効性を向上するための体制の強化など、水際対策を徹底すること。
・ 無登録事業者等による違法取引を未然に防止し、登録事業者による取引記録を確実に確認するため、種の保存法に基づく取引監視・指導の体制の拡充や見直しを行うなど、法の趣旨をより確実に実現する対策を実施すること。
・ 「標章」の義務化やカットピース・製品の管理強化など、国内取引のトレーサビリティ向上に向けた新たな対策を実施すること。
・ 象牙取扱事業者や消費者等における、日本における象牙取引の制度や、国外持出等の違法な象牙取引を巡る問題等についての理解を促進するため、国内外に向けた広報・啓発を一層強化すること。2 東京都が東京 2020 大会時に実施した象牙取扱事業者と連携した取組は、象牙の適正な取扱いを広く啓発する契機となり、国が行うべきトレーサビリティの向上に資するものである。特に、購入者の意思確認を販売事業者に求めたことは、違法持出の防止に貢献する施策である。今後、インバウンド需要の復活も見込まれる中で、東京都はこうした取組を継続させ、象牙取扱事業者と協力して市場の象牙製品が違法に国外に持ち出されることがないよう一層取り組まれたい。
3 日本の象牙市場を適正な水準とし、将来にわたって象牙に関する文化・芸術を守っていくことも重要な視点である。世界の主要国でも、象牙取引を法的枠組みで規制した上で芸術品等は狭い例外として取引が認められている。東京都においては、日本の象牙製品の文化・芸術的な側面を評価しながら、象牙取引がゾウの密猟や違法取引に寄与しないようにするために、条例又はその他の効果的な方法を検討されたい。